【BiSHドキュメンタリー映画感想】ALL YOU NEED is PUNK and LOVE観てきた

  • 2018.02.04
  • 2019.08.11
  • 映画
【BiSHドキュメンタリー映画感想】ALL YOU NEED is PUNK and LOVE観てきた

 

楽器を持たないパンクバンドBiSH。WACK代表取締役、渡辺淳之介が「BiSをもう一度始める」と宣言し、2015年3月に結成されたグループである。2018年5月には横浜アリーナでワンマンライブも決定している、飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女たち。

BiSH

ALL YOU NEED is PUNK and LOVEはそんな急成長の最中にあるにBiSHに迫ったドキュメンタリー映画である。そんな作品をシネマスコーレにて観てきたので、感想でも綴ろうかと思う。

 

あらすじについては引用させてもらう。

2017年3月下旬、株式会社WACKに所属するBiS,BiSH,GANG PARADEの新メンバー募集を目的に、WACK合同オーディション最終審査が5泊6日にわたって行われた。その期間中、現メンバー同士がお互いの曲を獲り合うという仁義なきルール設定から勃発したBiSHのメイン曲をめぐる戦い「オーケストラ騒動」が勃発、SNS上で大きな話題に。
その真相が特別番組としてスペースシャワーTVで放送されると「女の子の本当の成長を描いた傑作」「アイドルドキュメンタリーとしても出色の完成度」と絶賛する声が多数寄せられた。その後、エリザベス宮地監督の熱意もあり、BiSHの幕張公演から現在までを追加撮影した上で、『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』として劇場公開が決定した。        公式HP引用

 

映画ALL YOU NEED is PUNK and LOVE 感想

以下ネタバレ注意!

2つのドキュメンタリー

まず、念頭においてほしいのは、これBiSHドキュメンタリーであると同時にエリザべス宮地監督自身のドキュメンタリーでもあるを認識すること。BiSHだけの密着かと思って期待するのはよしましょう。エリザベス宮地監督の号泣シーンや、咎められるシーン、思い悩むシーンなどを目の当たりした際に、いやあなたの裏側を観たいわけじゃないんだよなあ、、、、、思わずと突っ込まざるを得なくなってしまう。要するに寛容な心をもち、二面性を楽しむつもりで鑑賞いただきたい。その点について、充分に心得ていないと不満な気持ちを抱きながら鑑賞することになってしまいかねない。

オーケストラの行方

映画は、桜の木の下、笑顔で踊るアイナ・ジ・エンドのシーンからスタートし、序盤はWACK合同オーディションにフォーカスを当てて展開されていく。新メンバー募集目的の合宿であるが、WACKのメンバーも参加している。BiSHからはアイナ・ジ・エンド、ハシヤスメ・アツコだ。アイナ・ジ・エンドがオーディション参加者をを脱落させまいと涙を流しながら、必死に指導する様子は彼女の性格の良さが前面に滲み出ていていた。「人を愛して、その人を良く見せることが特技」と豪語し、その言動に恥じない姿にはなんだかとても心を打たれる。人のために涙を流すってなかなかできないものだよね。
そんな振る舞いをカメラ越しにみていたエリザベス宮地監督もだんたんと彼女に魅了されていったようで、ハシヤスメ・アツコが気の毒になるほど、アイナ・ジ・エンド贔屓の映像に仕上がっている。
しかし、結果的に、そんな健闘虚しく「オーケストラ」はBiSの手に渡ってしまう。

アイナ・ジ・エンドの想い

後日、場面は代わって宮古でのライブ前。「オーケストラがセットリストに入っていないのは久しぶりだ。」とぼやくアイナ・ジ・エンド。ライブ直前と思われる楽屋では、メンバー全員にオーケストラ剥奪を含むオーディションのことについて語りかける。
ざっくり要約すると、オーケストラを奪われたことは申し訳ないと思っているが、土下座するほどかといったらそうではない。なぜなら合宿中、「みんなから何も感じなかった」から。他のWACKメンバーはTwitterで投票呼びかけていたみたいなことを引き合いに出しつつ、蚊帳の外にいるのではなく、グループとして協力してほしかった、的な主張。
こういう思ったことを伝えられる素直さはかっこいいなと思った。純粋に。またその思いをあえてライブ前に伝えることで、モチベーションを高めているとも捉えられる。このへんが圧倒的ライブパフォーマンスをみせてくれる所以なのだろう。
ライブシーンのアンコールでは、清掃員による封印されたオーケストラのアカペラ合唱が印象的だった。

幕張メッセまでの軌跡

映画としてはここくらいから、メンバー全員を平等に密着していこうという姿勢がみられる。しかし、モモコグミカンパニーに「誰かを好きになることはリスクを伴うんですよ笑」といじられるなど、エリザベス宮地のアイナ・ジ・エンド贔屓はメンバーに周知のようでことごとくあしらわれている。
そのため、個別の密着として踏み込んでいるかというとイマイチだったが、幕張メッセでのライブを迎えるにあたってのコント作成、ダンス自主練習のシーンのメンバー同士の絡みの成長記録過程としては面白かった。

そして、本番当日の一曲目としてオーケストラが披露。ここまで、赤レンガでのGANG PARADEから返却申入れのくだりを含む、オーケストラを巡っての行方を長々とみてきただけに、曲が始まったその瞬間から感動と鳥肌ものだった。
まあここに限らず、曲が挿入されるシーンはどれも感動的だった。

打ち上げにて

大きなライブ終了で一段落かと思いきや、モモコグミカンパニーに「まだ密着続くんですか?(幕張が終わって)区切りがいいですよ笑」と指摘されながらも、着地点を見失った密着は続いていく。

メンバーと過ごす時間も長く、打ち解けてきたのか、カメラは打ち上げ会場に潜入する。ここでのハイライトとしては、エリザベス宮地監督が、メンバー一人一人からデスソースをかけてもらった肉を食べるシーンと、アユニ・Dに共同の映像製作を迫り、泣かせてしまうシーンが主たるものだ。(正直なところ、前後の話の流れがカットされていたのと音声自体が聞き取りにくかったため涙の正確な理由はわからない)

はっきりいってここのくだりはなくてもいいかなとも思った。せっかく、打ち上げにいれてもらってるなら、脈絡のわかりにくいシーンを詰め込むより、もっと撮るところあっただろと思わざるを得ない。というか、ここに限らず、前後の脈絡がわからず、想像するしかようなシーンも見受けられて若干置いてけぼりを食らう感はあった。そんなわかりにくいシーンを挿入するのであれば、例えば、モモコグミカンパニーが酔っぱらっているシーンとかをもっとみたかった笑 いや、むしろそれをずっと垂れ流してほしかった。そっち方が面白いと思う。超個人的見解。はい。

映画ALL YOU NEED is PUNK and LOVE感想 まと

大満足というわけではないけれど、総評としては良かったと思っている。根本的に誰かが何かの目標に向かって努力している姿というのは無条件に感動するし、心が打たれるものなのだ。
ましてやアイドルという普段は完璧な姿しか目にすることのない人達の裏側というのは、その感動はより一層深まると思う。

BiSHというグループ自体、もともと、その飾らない姿を曝け出している点も大きな魅力のひとつであると思う。
また、エリザベス宮地監督も映画の中に、自身の失敗、涙などの無様なシーンを組み込むことで、彼女たちと重ね合わせたのかもしれない。
ラストに、「BiSHのためではなく、映画のためにカメラをまわしてしまった」、テロップにもある。冒頭にも書いたように、BISHとエリザベス宮地監督の成長物語、二つの要素を楽しんで是非鑑賞していただきたい。。

 

最後に、、
幕張メッセ直前のシーンで、モモコグミカンパニーが読んでる本が羊をめぐる冒険(上)だったの僕はを見逃さなかった。

おしまい。

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