「吾輩は猫である」に匹敵するほどに有名な夏目漱石の代表作の「坊っちゃん」。
この本を自ら手にとる人ってどんな人なんでしょうか?
僕が最初に夏目漱石を読んだのは、高校生のとき教科書にあった「こころ」だった。
そのときは自らの意思で読もうとしたのではないので、読み進めるのに苦痛があった。おまけに、読書感想文まで書かされた。
正直、印象という印象はない。
そんなこともあってか、今現在に至るまで夏目漱石の本を手に取ることはなかった。
年を取るにつれ、様々な本を読むようになり、名作、文豪といわれるものにも自然と手をのばすようになった。
ノルウェイの森の永沢さんも言っていた。
俺は時の洗礼をうけていないものを読んで貴重な時間を無駄にしたくないんだ。人生は短い。
と。
古くからの名作には、名作と呼ばれるにふさわしいそれなりの理由があるのだろう。
彼に感化されてか、教養としての様々な文学作品に触れておきたい気持ちもあり、太宰治、谷崎潤一郎、川端康成などなど、、、
色々手を出してきた。
そこには、もちろん、楽しめたものあるし、自分にハマらなかったものもある。
(ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟なんかは途中で放り投げた笑)
その作品の良さを充分に理解できない、享受できない自分に対する嫌悪感もあるが、読めないものは読めないのだから仕方がない。
そんなふうにしてにあれもこれもと手を出す一環として、手にとった坊っちゃん。
直近で愛媛に旅行に行く予定があったので、ただそれだけの理由で読み始めたのであった。
前置きが長くなったが、なんの話だっけ。そうだ感想だ。以下感想について書こうと思った次第であります。ネタバレなしです。
とりあえず読みやすい
率直な感想としては、面白くて読みやすい。
名作文学というととっつきにくい印象を受けがちだったが、全くそんなことはなかった。その流れるような文体にページをめくる手は止まらなかった。単に好みの問題かもしれないが、すらすら読めるということは、それほど作品の中に入りこんでいけるということなのではないでしょうか。
ストーリー的にもぐだることなく次々に展開されていくので退屈しない。
どこまでも自分に素直な主人公・坊っちゃんへの羨望
坊っちゃんの、自分の考えに素直に行動していく様はとても清々しい。
少しでも気に入らないこと、不条理なことがあると打算的な考え抜きに、自分の正義を貫く。
その発言と行動は、カタルシス効果満載で読み手の言いたいことを常に代弁してくれている。
僕みたいな言いたいことも言えないがんじがらめサラリーマンの憧れであり、
まさに、半沢直樹を見ていた時と同じような痛快さを味わうことができるのである。
たとえそこにデメリットしかなかったとしても、己の倫理観を貫く姿勢に対して、羨望の眼差しを向けずにはいられなかった。
朱に交わわれば赤くならない、自分の思った通りの道を切り開いて進んでいく人間的魅力がある。自分もこうしようという原動力を与えてくれるのである。
また、東京育ちの坊っちゃんの田舎ディスりも見どころのひとつだ。
教員に悪意をこめたあだ名をつけたり、田舎育ちの生徒に対して、見下した文句を言いまくる。
狭い土地に住んでいる窮屈さを嘆いている描写はなかなか笑えた。
終わりに
あっという間に読み終えてしまった作品だが、今なお、課題図書にラインナップされているすごさが身に染みた。
確かに様々な視点で色々な感想が生まれると思うし、現代まで読み継がれているのにふさわしい一読の価値ありの作品。是非とも。
自分の倫理観に素直になれているのだろうか?
そんなことを自問自答させてくれる本である。
そしてなんとこの本、Amazonでは破格の約1〜40円である。まだの方は、ご一読をおすすめする。
おひまい。
コメントを書く