「なんかいい本ないかなー」とブックオフを物色していたときに惹かれた一冊。
単にタイトルと表紙がかっこよくてジャケ買いした。
一見、堅苦しそうなタイトルで、難解そうに思えたがそんなことはない。
よくあるビジネス書のような、「こうあるべき、こうしなさい」のような指南書というより、エッセイ集。
「私はこういう考え方をしています」という紹介。いわば、考え方のヒントを与えてくれる本。
本書のあとがきにも、
自分がどういう考え方をしているか、ということを意識するには、ほかの人の型に触れるのが有効である。
とあるように、自分の考え方を見直すきっかけと刺激をくれる一冊となっている。
ボリューム的にも200ページ程度で手軽さが魅力。カテゴリーごとに分かれているので気になった箇所だけをつまみ読みするのもよし。 購入後に知ったことだが、東大、京大の生協でベストセラーにもなっているらしい。
と前置きが長くなったが、気になったカテゴリーをピックアップしつつ、書評という名の感想を。。。。
グライダー
最初の章の、最初の項目であり、著者が本書を通して、一貫と主張していることである。勉強することの本質をグライダーと飛行機に例えて紹介している。
人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。
受動的に知識を得るのが前者、自分でものごとを発明、発見するのが後者である。
学校は、指導者と教科書ありきの受け身の姿勢。独学で知識を得ることができない=自力で飛び上がることができないグライダー人間。まさに、言われたことだけをこなすのは得意なグライダー人間!俺のことか!?
創造に必要なのは、思考という名のエンジンを搭載した飛行機人間。そうあるにはどうすればいいか?創造するには何が必要か?自発的になるには方法は?そんなことのヒント紹介してくれる本となっている。
朝飯前
この「朝飯前」の章は、極論だけど真似したい項目であった。
朝に活動することが効率的ということは僕自身も何となく身を持って感じていた。
例えば、夜書いた文章を翌朝読み返すと、推敲し直すべき箇所がけっこうあったりする。また、夜悩んだ問題も翌朝思考し直すと、あっさり解決策が見つかったりする。
そんな経験則からも朝の方が活動に適していることは承知していた。
朝飯前とは、朝食前にもできるほど簡単という意味だが、著書はこれを、朝食前だからこそ簡単にできると解釈する。
そして朝食を抜くことによって、朝飯前の時間を長く確保する。
朝食兼昼食をとった後は、ひと眠りする。簡易的な昼寝ではなく、布団を敷いた本格的な睡眠だ。
起きた時には自分だけの朝が手に入る。ここでも朝食はとらずに、夕方に朝食兼夕食をとる。そうすることで、それまでの時間が朝飯前の時間というて活動できるというわけだ。
寝て疲れをとった後+腹に何も入っていない状態こそが、思考に最適な時間だとすれば、これほど効率的なサイクルはない。
一日が二日になっている。
いかがだろうか?ある種、突拍子もない偏屈な考え方だともいえるだろう。けど、好き。
セレンディピティ
Wikipediaによると、
セレンディピティ(serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。
とある。
日常的にシーンでは、試験前に勉強していて机に向かう。きまぐれに漫画に手がのびる。普段全く興味がなかった漫画だが、読み始めると予想外の面白さに止まらない。ふとしたきっかけで新しい関心の芽がでることは一種のセレンディピティだ。
これに類する経験は誰しもあるのではないだろうか?
中心的関心より、周辺的関心の方が活発に働くのでは?という考えがセレンディピティ現象である。
そんな考えのもと、とりあえず何事もやってみることは、想定外の結果を得られる可能性を秘めているとも捉えられるので、挑戦することのの背中を押してくれる。
とにかく書いてみる
ブログを書く者として陥るネタ切れ。なんも書くことないと思いつつ、とりあえずパソコンの前に座って個人的な日記みたいなものを書いているとふとアイディアが浮かんでくることもある。そういうことを言っている。いわば、書く行為は、もつれた思考の糸を解きほぐすかのように整理してくれる。僕も書き続けます。
手帖とノート
僕も手の届く位置に紙とペンを常備している。その他に、スマホアプリでメモとリマインダーとエバーノートを駆使している。
自分の中でなんとなく使い分けているものの明確な基準はないので、見直すきっかけを与えてくれた。 著者のメモとノートの使い分け方は参考するべき点もあった。
これをうまく応用できないものか。試行錯誤の真っ最中である。
思考の整理学 まとめ
冒頭と重複するが、とにかく押しつけがましくないスタンツの本となっている。
へー、なるほどーという月並みな感想で終わるかもしれないが、それでもいいと思う。著者は御年90歳を超える外山滋比古氏。そんなおじいちゃんが語りかけてくる感じで脳内再生しながら、聞き流すように読むと不思議と説得力が増す。
グライダーの項目から始まり、本書から一貫してひしひしと感じる、自ら学ぶ姿勢をもつということ。
30年以上の前の書かれたものでありながらロングセラーとなっている。それは、色褪せることのない物事の考え方の本質を突いているからこそなのだろう。
しかし、それ故、アナログな思考法も多く紹介されている。それらを参考にしつつも、現代風にアレンジし、自分のものに落とし込むことが必要かもしれない。
それこそ、まさに自ら思考する飛行機人間になるステップであろう。
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